製法へのこだわり
ATELIER RUFUは、手仕事にこだわる。
一つ一つのパーツに対して、手間を惜しまずディテールの仕上がりも追及しています。
ここでは、その作業の一部をご紹介します。
ヘリ落とし
ヘリ落としというのは、コバの角張った部分を斜めに切り落として、コバに丸みを施す作業になります。
※「コバ」とは革の断面のこと
左側のパーツは、裁断した後にやすりをかけているので、コバが少し荒れています。
この荒れた部分にヘリ落としを施すことで、コバが整い、作品全体が柔らかいイメージになります。
また、
手触りもフィットしやすくなるため、使い心地も良くなります。
ヘリ落としで斜めに切り落とすコバは、0.4mm〜1mm程度。(パーツによって変えます。)
これを、
やるとやらないでは全然違った印象に仕上がるので「ものづくりって面白い」そう感じられる作業です。
写真のパーツはRUFUのファスナーに付ける持ち手ですが、このような小さいパーツも手抜きせず、丁寧に仕上げていきます。
コバのやすりがけ&磨き
コバは断面なので、目に見える面積としてはそれほどありません。
しかし、コバが荒れていると作品の完成度は極端に落ちてしまいます。
逆に、コバが綺麗だと作品が美しくなるので、RUFUではコバは必ず丁寧に仕上げます。
どちらが磨かれたコバなのかは、一目瞭然かと思います。
磨いたコバは、カサカサが消えて光る艶が生まれています。
スリッカー(木製の道具)で磨き、
革の風合いを活かしたまま仕上げるのがRUFUの特徴です。
触り心地は、革に含まれるオイルや弾力も相まって、ツルツルしてるような、ねっとりとしてるような不思議な感じに仕上がります。
また、ひとくちにコバの処理と言っても、塗料で塗り潰すなど色々な方法があります。
そんな中でRUFUでは、本革をより実感していただけるよう、この仕上げにしています。
塗料が剥がれてしまうリスクも無く、エイジングで移り変わるコバの表情をたのしんでいただけるかと思います。
捻引き
捻引きは、革の端に線を入れることで、作品の見た目を引き締めてくれる作業です。
RUFUの場合は、先端を熱した捻引き道具を用いて行います。
上に重なっている方が、捻引きをした革です。
ステッチとコバの間の抜けた感じを絶妙に埋めてくれるので、シュッとしたイメージが強くなります。
捻引き道具で端をなぞるだけですが、パーツ数が多いと以外と時間が掛かる作業です。
実はこの作業はコバ磨きと同じで、やらなくても使い勝手には影響しません。
でも、私としては「捻を施した方がお洒落」に感じるので、捻引きも省略せずに完成度を高めていきます。
手縫い
最後は、RUFUが最もこだわっている「手縫い」です。
RUFUでは、全ての作品を総手縫いで仕上げています。
なぜ作業効率の良いミシンを使わず手縫いにするのか。
それにはこんな理由があります。
【 手縫いの方がほどけにくい 】
一つ目の理由としては「手縫いの方が丈夫になる」という点を大事にしたいと思ったからです。
実は、ミシンと手縫いでは、縫い合わせる仕組みに違いがあります。
仮に糸が切れてしまった時、その糸を引っ張ると・・・
・ミシン縫いはスルスルとほつれていってしまう。
・手縫いはほどこうとしないと、なかなかほどくことができない。
RUFUは「お客様に出来るだけ丈夫な品をお届けする」という思いが主軸にあるので、総手縫いでのモノづくりをしています。
【 使いたい糸がミシン非対応 】
もう一つは、RUFUで使用している
「シニュー糸」は、ミシン縫いに対応していないということです。
麻糸やビニモなど。これまで色々な糸を使ってきました。
その中でも、この
シニュー糸が自分の作風であったり、使っている革に一番マッチしたと感じています。
革の持つ弾力と、糸の張りやしっかり食い込むその性質が、とても相性が良いのです。
あくまで私個人の感想ではありますが、これだけ
革とステッチの色が違うのに、一体感を感じられるのはなかなか無いのではないかなと思います。
しかも、シニュー糸は引っ張りや摩擦に強いので、丈夫で切れにくいという特徴を持っています。
ここまで優れた糸を使わない手はないので、やはりミシンは断念。
それに、逆を言えば
シニュー糸は手縫いじゃないと使えない糸ということですから、それはそれで良いなと感じています。
【 菱目(ひしめ)を開けるのが好き 】
ここまで色々理由を並べてきましたが、最大の理由がこれかもしれません。
手縫いをする場合は、縫う前に針を通す穴「菱目」を開ける必要があります。
※革は固くて丈夫なので、菱目なく針を刺して縫えない
こちらが菱目を開けた革パーツです。
少し変に思われるかもしれませんが、
私はこの「菱目が等間隔で並んでいる様子」がとても好きです。
革に菱目をあけた時「この革はこれから作品になるんだ」と、実感が込み上げてきます。
早く縫い合わせて完成させたいと、創作意欲をくすぐられます。
この瞬間を味わいたいので手縫いにこだわるようになった、そんな気がしています。
詰まるところ、
自分の「好き」を押し通したらミシンは使えなくなったということなのかもしれません。(^^;)
こだわり抜きたい
実は、これらの作業はレザークラフトを知る人であれば、けっこう当たり前な基本作業です。
しかし、市場に出ている商品の大半は上記の仕上げ作業はパスされている、と言っても過言ではありません。
理由は明確で「時間(コスト)が掛かり、量産品などには不向きだから」でしょう。
実際のところ、細部まで仕上げをチェックして革小物を買う人はあまりいません。
自分も革に打ち込むまではそうでした。分かるほどの知識もありませんでしたから(^_^;)
そのため「時間をかけてキッチリ仕上げなくても売れる」というのが事実としてあるようです。
特に実際に手に取って商品を見ることができないネットショップでは、マーケティング的思考から、そういった商品が増えていく傾向にあります。
それでも、
こだわりの革小物を探している人だってきっといるはず。
そんな人達にRUFUの製品をお届けできたらと思っています。
また、クラフターとして、生み出すモノは納得できるまで綺麗に、そして格好良く仕上げたい。
そんな思いで今日も道具を取り、製作しています。